"志高く生きる"人材を育て成果をあげるチームをつくる!
伴走型チームマネジメントパートナー 水野です。
前回のブログの続きです。
創業70年の老舗企業さん。仕事の注文も多く、業績は順調。
だが、カリスマ的な存在の社長について来ることが出来ず離職する社員も・・・
そんな中、社長のご子息である専務が、社員の育成・指導に力を注ぐようになり、
少しずつ社員が定着してきました。
しかし、社員が増え始めた頃から理念がないことに違和感を覚え、
会社の方向性や仕事の判断基準を整えておかないと、
社員がついて来るのは難しいのではないかと思い始めます。
そして、
社長交代も視野に⼊ってきたところで理念経営に舵を切ろうとプロジェクトの導入を決められました。
理念プロジェクトを始めて約2年が経過した今、
社員のエンゲージメント(会社に対する愛着や貢献の意志)が深まり、
仕事に向き合うモチベーションも高く、新人の女性社員は「この仲間、このチームのためなら頑張れる」とまで言い切ります。
しかし、ベテラン社員曰く、理念プロジェクトが始まる前はそうでもなかったと・・・
まだみんなバラバラでチームというよりもグループ寄りの組織だったと。
それが約2年でどうしてここまで結束力があり、お互いが助け合うチームに変わっていったのか?
そこには3つのポイントがあります。
1・理念を「自分ごと」にしていくプロセス
2・経営者の覚悟と姿勢
3・NO.2の成長
今日は、1、2について書きたいと思います。
3のNO.2の成長は後日改めて記載します。
まず、1の理念を「自分ごと」にしていくプロセスの順番は、会社の状況によってケースバイケースですが、
こちらの会社では、まず社員全員が"自分を知り、お互いを知る"「効き脳診断」を行い、
同時にチームビルディングゲームを行うことで、しっかりコミュニケーションを取り、関係性を強固にするところから始めました。
チームビルディングゲームの中で、バラバラな社員が同じ方向に進む(束ねる)には仕組みが必要で、
仕組みを運用していくためには社員間の関係性、効果的なコミュニケーションが必要であることを体感することで、
メンバーの意識がグッと上がりました!!
そして、翌月から本格的に理念策定コンサルティングがスタート。
まずは、社員全員と個別の面談ということで、
経営者と社員それぞれに「期待していること、貢献できること」をヒアリングさせて頂き、
ギャップを明らかにして埋めるようにしていきます。
この面談時間は、私が社員ひとりひとりの現状を知り理解すること、
そして、コンサルタントとの関係性を築くためにとても重要な時間だと捉えています。
私は、初対面の人と短時間で信頼を築くことが自分の強みだと思っていて、社員と同じ目線になり、
まずは自己開示をして、そこから大切にしている価値観や会社や人生に対する想い、夢やビジョンなどを丁寧に聞いていきます。
中には不平不満を言う社員もいますが、それは私を信頼してくれている証拠だ捉えじっくりとお聞きします。
しばらく話を聞いていると、「本当はもっとこうしたい」、「こんな会社だったら良い」と未来に向けて肯定的な話になってきます。
社員は社員で自分の会社をもっと良くしたいと思っている人がほとんどなんですね。
そこから経営者(ここでは専務)の社員一人ひとりに対する「こんな社員に成長してほしい」
「そのために会社、自分はこんな貢献をさせてもらうよ」といった思いを社員に丁寧に伝えます。
経営者と社員、お互いの想いをつなぎ合わせ、ギャップを埋めていくと、社員の意識が少しずつ「自分ごと」に変わってき始めます。
土台(ベース)を作ってから、目的・目標の大切さや仕事で大切にする価値観・行動指針策定のベースとなる研修を行い、
「みなさんと一緒に「仕組み」である理念を作っていきたい、そのためにも皆さんの協力が必要なんです」と、
経営者と一緒に社員に同意を求めます(^^)
そこから、4-5か月の間、社員を中心に研修やディスカッションを進めていくのですが、
経営者、社員、コンサルタントそれぞれ「OK-OK」をキープしながら、MVV策定のプロセスを進めていくことで、
スムーズ且つ策定中に浸透が進む状態になっていきます(^^)/
策定後、半年~1年間で浸透を進めていきますが、そのプロセスについては、
私の理念コンサルの師匠である、生岡直人さんの書籍「こうやって言葉が組織を変えていく」に
詳しく書いてありますので、ご興味がありましたらぜひ手に取ってみられてください。
次に、2の経営者の理念経営に対する覚悟と取り組む姿勢、そして、社員との関係性です。
まず、こちらの専務さんはミッション、ビジョン、バリュー案を作るプロセスで、
コンサルタントのリードにそのまま従うのではなく、自分の考えや意見をしっかりと持ち、
疑問があるときは、ズバズバ遠慮なく問う姿勢がありました(笑)
ここ、とても大事なところです。
そして、研修やディスカッションの場で暴走しそうな社員がいると、
コンサルタントの対応を確認しながらここぞというときはスパッと切れ込んでブレーキを掛ける。
社員の発表内容が、表面的で耳障りの良い言葉が多い場合は、本質的な問いを投げて、
社員が見落としている視点を指摘する。
切り込まれた部下は、「おっしゃる通りです」みたいな反応で鎮まり
「この人に言われたら仕方がないな」という空気感になる。
本質的な視点を指摘されると、思考がより深まり、「末」よりも「本」的な意見が出てくる。
そして、
この専務は利他の心を大切にしていて、すべての社員の良い面を見るようにしている。
ひとりひとりの強みも知っていて少々不安があっても、まずは信じて任せてみる、
結果はどうであれ自分が責任を取るという姿勢があるので、部下も挑戦しやすくなる。
その姿勢が管理職を始めとしたほとんどの社員に伝染していて、それが理念策定・浸透プロジェクトにも反映していました。
あとは、「そもそもこれは何のためにやっているのか?」など本質は何かに対する意識が非常に高い。
自ら経営者の集まる塾に通い学び、経営や人に関する本を幅広く読み、良いと思うものは社内に書棚を設けて貸し出している。
経営者が率先して学んでいるが、読書や学びを社員に押し付けることはなく、
研修やディスカッションの時に気づきを促すように語りかける。
経営者が「本気」と「覚悟」を持って部下と向き合い、自ら先頭に立って理念を学び実践する。
部下を信じて任せる。教えようとするのではなく、自身の体験も交えながら気づかせようとする。
この姿勢が社員の向上心、向学心に影響を与え、
理念経営で今いるメンバーのレベルを"ソコアゲ"して(このワードはディスカッションで頻繁に出ていました)
自分たちが目指す会社に発展させたい、ミッション・ビジョンを達成させたいという原動力になっていたと思います。
素晴らしい経営者と社員の皆さんと、常に心地よい緊張感のもと理念の策定・浸透に関わらせて頂いたことに心より感謝申し上げます。